（はくあいしか） 　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 平成２４年４月１日

＊歯は極力削らない。

＊歯髄（歯の中にある神経や血管等）は極力取らない（歯を枯れ木にしない）。

＊歯は極力抜かない。

これが口の中を何時までも健康に保ち、
「美味しく食べ,楽しく話す心豊な長寿」のための原則です。

最近の一部新聞・テレビ報道にご注意ください!!

「削らない、痛くない虫歯治療法」は、残念ですが、現在まだありません。
治療後の「再発」を防ぐのは本人の努力です。

マスコミは正しい情報を提供しているか

　最近、一部のテレビ、新聞などで盛んに「削らない、痛くない、再発しない虫歯治療法・３ＭＩＸ－ＭＰ法」といった内容の夢のような報道がなされており、国民の皆様と、真剣に医療現場で働く歯科医師にとって誤解と混乱を招く困った宣伝がされています。そこで、私はこの３MIX法の開発者として、患者さんに正しい情報を提供して、適切なう蝕治療を受けて戴く責任があり、ここで解説致します。

抗菌剤３MIXとは

３MIXとは、三種の薬を混ぜた混合薬剤の便宜的呼び名で、う蝕患部の細菌をほとんど死滅させる効果があります。最近、３ＭＩＸ－ＭＰ法の開発者として宣伝されている方は、３ＭＩＸの開発研究には全く無縁の方で、３MIXを混ぜる材料MP(歯科医が使いやすくするためのもので、これ自体の殺菌・治療効果についての研究はありません。)を工夫された方です。３ＭＩＸ－ＭＰ法の報道にあるような「削らないう蝕の治療」法は、残念ながらありません。

３Mix法は、本来は子供の歯の治療のために開発したものです

私ども新潟大学歯学部ウ蝕研究グループが３０年ほど前に開発した本来の３ＭＩＸ法は、特に子供達の深い虫歯について、歯髄を取り除いて枯れ木にしてしまうことを少しでも防ごうと試みた治療法で、必ずしも万能ではありません。細菌の侵入が歯髄にごく近いところ、あるいは既に一部歯髄にまで達してしまった場合は、従来の治療法では、歯髄を取り除くことが原則でしたし、現在でも基本的にはそれが正しい治療法です。しかし、子供達では、まだ歯が未完成で、根の先の孔が大きく、血液の循環が多いので、３Mixを使って歯髄に侵入した細菌を殺してやればその死骸を掃除して外へ運び出してくれる細胞が血液中に沢山ありますので、その後に健康な歯髄組織が出来やすく、細菌の侵入程度が少なければ、歯髄を取らなくて、歯を枯れ木にして、脆くしないで助けられる症例もあり、成功率は高くなくても、子供の将来を考えると、試みてみる価値はある、という考えから生まれたもので、基本的にはその考え方は現在も変っておりません。成人では、歯が完成して根の先の孔が小さくなり、血液の循環量が少なくなっているので、掃除が出来にくく、歯髄内の循環障害により、歯髄組織が死んでしまう可能性が高いので、従来の歯髄除去の治療法が原則です。子供で、細菌感染組織は、できるだけ残してこの薬剤で殺菌を図る場合でも、かなり柔らかくなった感染組織は破壊の程度がひどくて元には戻らないし、そんな柔らかい組織の上に詰め物をしても、すぐに取れてしまうので、そのような破壊された組織を取り除くことは避けられません。

治療のためには歯は若干削ります

う蝕の穴を修復する材料がしっかりと歯に接着して取れないためにも、あるいは歯の壁と修復材の間からの細菌侵入によるう蝕の再発を防ぐためにも、入り口には健康な歯を削って２ｍｍほどの壁を作る必要があります。細菌を殺す良い薬、歯に優れた接着性のある材料など、新しい方法の開発で、最近では歯を削る量は少なくなりましたが、ごく初期の虫歯で十分清掃をしながら経過を観察する場合、以外は全く削らない治療法はありません。

治療にはやはり若干の痛みはあります

３MIX法でも、歯髄に近い場所では、やわらかい感染組織の除去でも若干の痛みは避けられません。勿論、麻酔をすれば削る痛みは避けられますが、注射の痛みはあります。

治療後の再発は大部分本人の責任です

「従来の治療法では、虫歯が再発することが多い」については、従来の方法でもきちんと治療されていれば再発は多くはありません。勿論、長年の使用で、磨り減ったり壊れたりしますが、再発の原因の大部分は、患者さんの手入れの不十分によります。特に治療した歯では、歯と修複物との境目に汚れが溜まり易く、細菌が繁殖します。３ＭIX－ＭＰ法では、再治療が無いとの表現は適切ではありません。修復した歯に再治療の必要性が起きる最大の理由は、治療に使われた薬よりも、患者さんの治療後の手入れの良し悪しです。どんな方法で治療しても、お口の清掃をサボって、食べ物が残っていれば細菌が繁殖して、ウ蝕や歯周病はどんどん発生・進行します。

虫歯予防は十分可能です

北欧などの福祉の先進国では、子供の誕生と共に口腔清掃をきちんと徹底することで、虫歯や歯周病は激減して、今では歯科大学の数も減り、歯医者の数も減っている事実を知るべきです。

３MIX法の理解が必要です

「３Ｍｉｘ－ＭＰ法は病巣を取り除かずに殺菌して自然修復を促すのが特徴」については、たとえこの方法でも、高度に破壊された組織は再生しませんので取り除かなければなりません。３MIXは、いづれもう蝕の治療薬として厚生労働省薬事課の認可が得られていません。そのために、歯科医師がう蝕治療に用いる場合は、その安全性、効果などを患者さんによく説明し、十分なインフォームドコンセントにより、患者さんからの使用のＯＫを得て始めて使うことができます。また、３種の薬の中には、あるいはその患者さんに何らかの副作用がある物もあるかもしれませんので、患者さんの状態をよくきいて安全を確かめてから使うことが必須です。３ＭIX法は、すでに開発後３０年以上にわたって、全国で多くの歯科医に試みられているもので、その中で最も効果的な薬剤は、合成化学療法剤のメトロノダゾールです。う蝕患部細菌の大部分が偏性嫌気性菌であること、メトロニダゾールがそれらの殺菌に極めて効果的であることの基礎的・臨床的研究がこの方法の原点です。この薬は、戦後、女性のトリコモナス膣炎の特効薬として長年、多量に用いられてきた薬で、極めて安全な物です。しかしながら、日本の法律では、薬の認可は、使用目的別に申請・許可を取らなければならず、虫歯治療用ではまだ認可が得られていません。認可を得るには、製薬会社が、発ガン性、慢性毒性、局所貯留性などについて、実験動物による試験が必要ですが、そのためには膨大な費用がかかります。もし認可をとっても、安い薬ですから製薬会社も元が取れませんから認可申請をしませんので、現在も厚生労働省無認可という事です。トリコモナス膣炎の場合は、大量に使用されるので開発費をかけても十分に経済効果がありますので製薬会社はそのような研究をして安全性を確認して認可を取っています。虫歯の治療に使う量は、トリコモナス治療の何千分の一の量ですから安全なことは明らかです。決して薬が危険だから認可が得られないわけではありません。最近話題の３ＭＩＸ－ＭＰ法は、薬を混ぜる材料としてのMPについて、これらを歯の組織内に残した場合にどうなるかの研究報告がありません。通常の歯科材料に混ぜる従来の３MIX法は、混ぜる材料は歯科材料としてJIS規格をパスした物を使っています。　しかし、３Mix法ももちろんう蝕治療に万能ではありません。また、時代と共に新しい効果的な化学療法剤も開発されてきております現在、メトロニダゾールは勿論有効ですが、それ以外の薬剤は、従来の３Mixにこだわる必要は無く、それぞれの状況によって歯科医が選択されれば良いと思います。最近では、私は、３Mixという呼び名を止めて、う蝕治療用抗菌剤という言葉を使っています。間違った情報に惑わされることなく正しい治療を受けられることを希望して、開発者としてここに若干の解説をさせて戴きました。

３MIXより、もっと大切なことは

しかし、最も大切な事は、虫歯をひどくして混合抗菌剤３MIXなどに頼らないように、日常のう蝕予防こそが、２１世紀の重要課題であります。現在、「８０２０運動」として、国を挙げて取り組んで居りますが、「８０２８」も十分可能です。恐い思いをして、時間をかけて、お金をかけて歯の治療を受ける無駄を省きましょう。毎日、顔を洗い、食事をすれば食器を洗う生活ができて、口の中だけ食べっぱなしで食べ物のかすを残し、バイ菌を飼っており、台所の生ごみが腐っているのと同じ臭いを周囲にふりまく生活は、とても文明人とは言えません。日本人が外国で一番嫌われているのは、口の汚さと口臭です。これでは、「外国人のキッスは愛情の交換、日本人のキッスはバイ菌の交換」などと言われるのです。歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスの正しい使い方を是非習得して、世界に恥じない文明人でありたいものです。
現在、歯科医師の仕事の大部分は、虫歯と歯周病の治療です。これらが激減すれば、歯科医はそうした疾患の予防指導、高齢者の口腔管理・摂食・嚥下指導・機能の老化防止指導、口の中に起こるガンのような命にかかわる重要な疾患の検査などにもっと有効に時間が使えます。自立高齢者をいかに要介護にしないかの努力、口腔細菌をコントロールして誤嚥性肺炎の予防を指導するなどの多くの命にかかわる危険性を取り除き、健康長寿を導く事が出来ます。

※ 診療科目

一般歯科
う蝕（むし歯）、根尖性歯根膜炎（歯の根の先の病気）、歯周病（歯の周りの病気：歯ぐきの発赤・出血・排膿、脹れ、歯の動揺等）

審美（自然美）歯科
歯のよごれ・色・形、歯並び、歯ぐきの色や形、口臭、歯ぎしり等

口腔総合健康相談

歯科人間ドック
口腔内の腫瘍、歯肉・舌・粘膜等の病気、う蝕、歯周病、歯の色・口臭・味覚
・かみ合せ・顎の異常、口腔乾燥等の検査

お年寄りの口腔ケア
口腔乾燥症、咀嚼・嚥下障害、口腔清掃状態の診査と指導

※ 各種保険取扱　　(ご希望の方には、保険治療以外の方法についてもご相談に乗ります。)

住所　　〒171-0022
　　　　東京都豊島区南池袋２－４７－１２　博愛歯科ビル　２Ｆ
　　　　ＴＥＬ：０３－３９８８－１４７０
　　　　ＦＡＸ：０３－３９８０－７２２８
　　　　Ｅ-mail： hakuai-d@cronos.ocn.ne.jp
　　　　ＵＲＬ：http://www11.ocn.ne.jp/~hakuai-d/

駐車場（１F）、　エレベーター　有ります（バリアフリー）。
　

※ 予約診療（受診ご希望の方はお電話下さい。）

※　診療日：火、水、木、土曜日
※診療時間：火、水、木曜日；９：３０～１２：３０、２：３０～５：３０、土曜日：９：３０～１２：３０　
（緊急の方は、上記以外でも在宅すれば拝見します。お電話下さい。）

※ 予約は、電話等にてご連絡下さい。留守の場合は、留守電にご連絡先をお入れ下されば、当方より後ほどご連絡致します。

※ スタッフ
　　院長　　　　　岩久正明

　　歯科衛生士　　岩久　裕子

ＪＲ：池袋駅下車・東口地下鉄出口４３番より徒歩5分
地下鉄有楽町線：東池袋駅下車・１番出口より　徒歩1分
都電：東池袋四丁目駅下車　徒歩４分

院長略歴

　　院長　　　　岩久正明

　　前・新潟大学文部科学教官・大学院教授
　　大学院医歯学総合研究科・口腔生命科学専攻・
　　口腔健康科学講座・う蝕学分野

「現職」

新潟大学名誉教授、日本歯科衛生学会顧問
日本歯科人間ドック学会指導医（前会長）
日本老年歯科医学会指導医・名誉会員、同振興会監事
日本歯科保存学会終身指導医・終身認定医(元会長)
日本歯科審美学会終身認定医（元会長）他

「略歴」

愛知県海部郡（現津島市）にて出生、２歳より岐阜県で育つ
昭和31年　岐阜県立恵那高等学校卒業
昭和37年　　東京医科歯科大学歯学部卒業
　　　　　　　　東京医科歯科大学文部教官任官
　　　　　　　　歯科医師国家試験合格・歯科医籍登録（第５０２３０号）
昭和40年　日本政府派遣歯科巡回診療班長として南西諸島（沖縄）へ出張
昭和42年　文部省在外研究員、デンマーク国・王立歯科大学講師、
　　　　　　　　アメリカ合衆国・インディアナ大学客員研究員
昭和44年　東京医科歯科大学：歯学博士第５９号
昭和52年　文部省在外研究員（アメリカ合衆国・インディアナ大学、スエーデン・カロリンスカ
　　　　　　　　大学、オランダ・ナイメーゲン大学他）
昭和57年　　新潟大学教授
昭和63年　　外国歯科医師臨床修練指導歯科医認定
平成4年　　　新潟大学歯学部附属歯科技工士学校校長併任
平成13年　　新潟大学大学院教授
平成15年　　定年退官　日本歯科大学客員教授（平成15年4月1日～平成24年3月３１日）

　元併任講師
東京大学医学部、新潟大学医学部、広島大学歯学部、北海道大学歯学部他

院長略歴

「現職」

「国際共同研究」「講演」

「学会活動」

「受賞」

「審議会・委員会元委員」

「研究分野」